治験対象(テクニック)の検討
【Evidence based Osteopathic Therapies(根拠に基づいたオステオパシー療法)・・・⑥】
薬などでは対象薬個別の治験を行うのでしょうが、手技療法となると個別のテクニック毎に治験を行うことは事実上困難なのだと思います。
オステオパシーのテクニックには・・・
筋膜リリース
ストレイン・カウンターストレイン
筋エネルギーテクニック(マッスル・エナジー・テクニック)
神経・筋テクニック(ノイラー・マッスル・テクニック)
H.V.L.A.(高速低振幅=スラストテクニック)
L.V.M.A.(低速中振幅=スプリンギングテクニック)
頭蓋仙骨療法(クラニオ・サクラル・セラピー又はクレニオ・セイクラル・セラピー)
内臓マニピュレーション
スティル・テクニック
靭帯性関節ストレイン
などがありますが、臨床の現場では個別のテクニックだけを使用するのではなく、的確に使い分けて体性機能障害の改善を図るのです。
個別のテクニック毎の効果を検証する為には、治験者(患者)に協力を仰ぎ、検査者(施術者)が個々のテクニックを実施した後に検証していくことが必要です。
ところが、前記したように我々は「臨床家」であり「研究者」ではありません。
医師のように「臨床医」、「研究医」がいるわけではありませんので、個々のテクニック検証の実質的時間と協力者の確保には無理があると思います。
それ以前の問題として、たとえば腰椎の変位(スパイナル・リージョン)が痛みの原因だと推測される場合でも、その矯正を『ストレイン・カウンターストレイン』で即行える事はあまりありませんし、行ったとしても効果は期待が薄いものとなってしまいます。
椎骨変位を引き起こす原因となる深部の『回旋筋』より先に、表在筋である『広背筋や脊柱起立筋群』の緊張・拘縮を先に開放(リリース)しておかなければならないからですが、この時には『筋膜リリース』を主に使います。
その後に椎骨変位の矯正(回旋筋のリリース)をストレイン・カウンターストレインにより行うのです。
すなわち、テクニックは複合して初めて効果が期待できるものです。
しかし、ある程度は系統を限定して治験を行わないといけないとも考えられます。
オステオパシーのテクニックは、『筋骨格神経系』『硬膜系』『内臓系』に大きく分類することが出来ますので、その系統毎に治験するのが合理的なのだと思います。
後発のテクニックである『頭蓋仙骨療法』と『内臓マニピュレーション』は、オステオパシーのテクニックに含めないと考える向きもあります。
また、頭蓋仙骨療法などで『エネルギー領域・精神領域』の治療法もありますが、まずはメカニカル(構造的)な体性機能システムに対してのテクニックの検証から入らなければ、エビデンスにつながらないと思います。
よって、治験テクニックの分類は、
【①筋骨格神経系テクニック】
筋膜リリース、ストレイン・カウンターストレイン、筋エネルギーテクニック、神経・筋テクニック、
場合によりH.V.L.A.・L.V.M.A
【②硬膜系テクニック】
頭蓋仙骨療法
ただし、脳脊髄液循環リズム(第一呼吸メカニズム)の改善に限定し、ソマトエモーショナル・リコール
&リリースおよびVスプレッドなどのエネルギー指向テクニックを除外する。
【③内臓系テクニック】
内臓マニピュレーション
あくまで、私見ですが上記分類に拠って検証に入ることが合理的だと考えます。
事項で述べますが整形外科の分野の評価スコア(JOAスコア)とリンクさせたデータ採取をしなければ、医学会でも認知は難しいと思うからです。(現在においてはエネルギー領域・精神領域の検証方法がありません)
~take care~