熱狂のレッドビーシュリンプ報道に物申す! | セラピスト・ラプソディー♪ ~真の健康をめざして~

熱狂のレッドビーシュリンプ報道に物申す!

昨日の『ワールドビジネスサテライト(TV東京系)』でもレッドビーシュリンプが紹介されていたようですね。(内容はわかりませんが・・・)

先般の『オリラジ経済白書』での放送以来「レッドビーを育てれば商売(利益)になるか?」といった趣旨のお問い合わせメールをたくさん頂いています。


このブログへの検索エンジンからのアクセスでも、検索ワードは「レッドビーシュリンプ買取」といったフレーズが毎日トップをかざっています。

そこで、今回はもう一度レッドビーシュリンプのブリードについて記事にします。


今回のブーム?のきっかけは・・・

『週刊オリラジ経済白書』という日本テレビ系のバラエティー番組で「何のとりえもない素人が1か月で100万円稼げるか?」といった企画の中の一つに「レッドビーシュリンプの稚エビを1匹1万円で10匹購入し、育てて、1ヵ月後に買い取ってもらおう!」というお話しでした。

エビの飼育だけではなく、他のアルバイトなどを含めて100万円稼ぐといった趣旨でした。


結果は・・・

3匹は水温上昇で死に、7匹が成長し、「最低5千円・最高6万円で総額17万円」で買い取ってもらい、見事100万円達成!したのです。

映像からは「どう見ても6万円もするような個体ではない・・・」と過去ログで書きましたが、TV局の編集ミスで一番安い5千円のエビの映像だったようです。エビを販売した業者えび〇さん(一応伏字にします)はTV局に訂正を求めているようです。(いずれにしても番組制作者はこんな知識もなかったということでしょう)


さて、レッドビーシュリンプの育成は、エビ専用のグッズが沢山開発され販売されている現在ではさほど難しいことではありません。

但し、趣味レベルで飼うことは容易いのであって、エビを繁殖させ、良いエビを増やしていく(グレードを上げていく)ことは簡単ではありません。


良いエビを繁殖させて増やしていくには、良いエビと悪いエビを選別して育てていかないと、何でもかんでもが交配してしまうと良いエビが増えるどころか、どんどんグレードが下がってしまう可能性があるからです。

このように選別交配させていくためには、少なくとも水槽が3本位は必要でしょうし、ソイル(底砂)には寿命があるため6か月~1年位でリセット(入れ換え)する必要がありますので、予備の水槽も必要かもしれません。


安定した水質を維持するためには90cm規格水槽(幅90cm×奥行き45cm×高さ45cm)以上がベストと言われているようです。この水槽の容量は160リットルで満水にすると水の重さだけで160kgにもなります。

60cm規格水槽(60cm×30cm×36cm)でも水量は60リットル程で60kgになります。

取り扱いしやすいのは、30cmキューブ水槽(30cm×30cm×30cm)と言われる水量27リットルの小型水槽ですが、水量が少ないと水質変化が起きやすいため水質維持のためにはそれなりの知識が必要です。

如何なる水生生物を飼う場合も同じですが、ろ過器は必ず必要なのですが、レッドビーシュリンプ育成では通常の1.5倍~2倍のろ過能力のあるフィルターを使用する必要があり、初期投資(イニシャルコスト)は比較的高額になります。

(オリラジ経済白書ではおそらく10万円位かかっている水槽設備を無償貸与でした。)


水は重量物と捉えないといけないので、床の強度も必要ですし、水槽数本をメンテナンスしていくだけでも相当の労力が必要な上、30℃以上の高温では生存できないレッドビーシュリンプ育成では夏場は水槽毎に水を冷やす水槽専用クーラーを取り付けるか、部屋ごとエアコンを掛けっ放しにするなどの工夫が必要ですので、イニシャルコストもランニングコスト(維持費)も馬鹿になりません。

(本格的ブリーダーは、床の補強・専用水槽台・専用上下水設備・専用電源などを整備しています。)


ブリード(繁殖)方法も確定されたものがあるわけではなく、地域によって水道水であっても地下水であっても水質が違いますので、試行錯誤しながら繁殖に成功したブリーダー(繁殖家)の方々がインターネットオークションや個人売買などを行っていたり、トップブリーダーは起業して専門業者になっています。

その方々は毎日エビ漬けで日々努力を積み重ねての今日があるのだと思います。


ここで整理しますが、いくつもの矛盾があります!

まず、オリラジ経済白書で放送されたような「稚エビを買って・育てて・売る」といった商業行為は通常ありえないことだと思います。


国内にプロ・アマあまたのブリーダーがいますが、行っているのは「良いエビを購入し種親にして、繁殖させている」のです。

それを販売することやオークションに出すこともありますが、多くの人は鑑賞用として趣味の範囲で飼育を楽しんでいるはずです。


TVに出ていたエビ業者(えび〇)さんも、元はトップブリーダーだった人が専業とした方のはずで、国内トップクラスのレッドビーシュリンプの繁殖家ですが、そのエビがいくら良いエビでも販売した稚エビを簡単に買い取ってくれるはずなどありません。

元来生まれた稚エビを育てることなどブリーダーには簡単なことなのです。(難しいのは繁殖させること!)

高く売ろうと思うならば、その業者が育ててから売れば良いのです。

大型の生物ならばスペースが無いといった理由はあるでしょうが、体長2cmほどのエビは大量に育成したところで何ら問題ないはずです。

(選別落ちとした低グレードは邪魔でも、高グレードのエビなら大切に育てれば良いはずです)


そして、ネットオークションの落札価格を見ればわかるはずですが、高グレードのエビと確認できるならば稚エビであろうが成長したエビであろうが、価格に大きな開きはないはずなのです。

ですから、通常は稚エビであろうが成長したエビであろうが、一度の販売(譲渡)で商業行為は完結するはずで、それを育ててくれたら買い取るという行為はあり得ないと思います。


TVで買い取りをしていた業者(〇〇〇フォーチュン)さんは、えび〇さんから日頃エビを仕入れて販売しているショップですが、買い取りしたのは「エビの血統が“えび〇”と確定している」ためでしょうが、最高値6万円というのはおそらく店頭価格(流通価格)くらいのはずで、もし仮に買い取りをしてくれたとしても実際には数分の1~10分の1くらいになると思います。


買い取り価格が本当に6万円ならばそれを販売する時には10万円~20万円位でしょうか?

そんな高グレードのエビが、稚エビの時でも1万円なんて安値は考えられません。

そもそも6万円と値が付くエビが1か月前に価値がわからない業者なんていないと思うのですが?。1か月でそんなに成長しませんし・・・。

(レッドビーシュリンプにおいては稚エビの頃にはある程度グレードは想定できます。だからこそ1万円という高額評価だったはずです。グレードもわからない位の本当に極小期のエビを1万円で販売したとでも言うのでしょうか?)


稚エビで1万円というのは高グレードのエビですが、「それを育てれば高額で買い取ってくれるような商業環境は世界中どこを探してもない」ということはエビの愛好家ならば誰でも知っていることだと思います。


エビ愛好家たちの行っているのは、高グレードのエビを種親にして、繁殖させ増やしたものをオークションに出すか、あるいは個人売買をする程度のことです。

そのためには、知識も投資も労力も必要ということです。


業者に買い取ってもらうことも出来ないことではないのですが、業者とのコネクション・信頼関係・エビの血統の証明が無いと不可能だと思います。(いい加減に買い取って、適当に売っているショップもありますが・・・)

レッドビーシュリンプにはメジャーな数系統(ブリーダー系統)がありますが、素性のわからないエビならば、そのエビ自体のグレードは高くとも、種親とした時に次世代に良い個体が出てくるかどうか不確定となります。

ホワイト系とも呼ばれる赤色がなくなっているレッドビーを掛け合わせれば白の多いエビは生まれますが、それを良しとしない考え方もあります。(専門的になりますのでこれ以上は書きません)

繁殖には系統も大切なのです、系統毎に水槽をわけて繁殖させているブリーダーもいます。


なぜ、この番組がこのような内容になったのか?

番組制作者は「稚魚を育てて転売して利殖する錦鯉などと混同している」可能性があります。

寿命の長い錦鯉などでは、成長と共に文様も変わり、稚魚の時にグレードを確定することも困難ですので、稚魚を購入し「育成して」その個体自体を転売することは普通の行為だと思います。

ところが寿命が1~1.5年くらいと言われるレッドビーシュリンプでは、購入は「その個体を育てて転売するのではなく、種親にして繁殖させることを目的としている」つまり、売りに出すとしてもそれは次世代以降ということを理解していなかったのではないでしょうか?

ところが、まず先に「1か月で利益を得る・・・」という企画ありきで、それに無理やり合わせるために、稚エビの買い取りストーリーを創作した?

(番組内の他のアルバイトとかも演出としか考えられない特別扱いがありましたよね・・・)

 
ところで、オリラジ経済白書で使っていた水槽設備は10万円くらいは掛っているものだと思われますし、セットしたのはプロでトップブリーダーのえび〇さんです。(しかも設備は無償貸与)

通常はエビの住める水質を作り上げるために数週間は水回し(水槽内をセットしろ過バクテリアや微生物を繁殖させる)することから始めますが、初心者が一番苦労するのはその段階なのです。

水は購入したエビがいた水槽の育成水を持ち込んだのでしょうが、プロが半日お店を休んでセッティングしてくれることなどTVでなければ到底あり得ません。

本来あり得ないことを有るように作り上げるのがTVの演出なのです。


アクアリウム愛好家の中では確かにレッドビーシュリンプのブームはあります。

キレイでかわいいですから、趣味の範囲で飼育と鑑賞を楽しんでいるのです。


上手に繁殖させた一部のブリーダーさんが専業にしたり、増えたエビをオークションに出したりしているのです。

そこから高額なエビを買う人の中には「それを種親にして繁殖させて売ろう!」と考えている場合もあるでしょうが、ある程度経験を積んでからでしょうし、経験を積んでエビの見分けができるようになった人が素性のわからないものを買うとも考えられません。


いずれにしても、レッドビーシュリンプ売買で利益を上げられるのは「プロか超アマチュア」と考えた方が良いと思うのです。ニコニコ


<参考記事>

ようこそ、レッドビーシュリンプの世界へ!

レッドビーシュリンプの進化


<レッドビーシュリンプの記事のみ表示する場合は>

ブログテーマ:レッドビーシュリンプ