医師から見た手技療法 | セラピスト・ラプソディー♪ ~真の健康をめざして~

医師から見た手技療法

【Evidence based Osteopathic Therapies(根拠に基づいたオステオパシー療法)・・・②】


医師が手技療法(あるいは徒手治療)に無理解あるいは批判的な理由をあげると・・・

固定観念:医師以外の者が行う医業類似行為に効果があるわけがない。


特権意識:治療や治療に類似する行為(医業類似行為)は医師しか行ってはいけない。(日本では理学療法士・看護師などは医業従属職であり、医師の指示の元に治療を補助する者である)


 アメリカでは医療士と認めらる資格(認可は各州の判断によるもので、全州一律ではない)として、自然療法士(Naturopathy)・脊椎整形士(Chiopractor)・按摩士(Masseur)・診療看護士(Nurse Practitioner)・補助医師(Assistant Physician)・中医(Traditional Chinese Medecine)などがあり、"準医師”と位置づけられるものもあります。

また、「コ・メディカル」と呼ばれる医師以外で医療に“独自の立場”で業務を遂行する職種として、理学療法士・作業療法士・視能訓練士・栄養士・臨床心理士・医療ソーシャルワーカーなどがおり、ある意味では医師と同等の発言権を有しています。

内反足の手術なども手がけるカイロポディスト(足趾治療士)やパラ・メディック(医師の指示の下に、電気的除細動・気管内挿管・輸液などの高度な救急処理を行う医療専門職)などもあります。


知識不足:日本での医学教育で、オステオパシーでいうところの体性機能障害(主に筋肉異常による身体の不調)という概念などの教育は受けておらず、筋肉異常などは不調の原因とみなしていない。

すなわち筋肉異常の検査もしないし、治療法も身につけていない。

もちろん筋肉異常を見つけることは出来ないので、「自分たちにわからないことが、医師以外のものにわかるわけがない」となってしまう。

(脳脊髄液の循環リズムをチェックしたり整えるのはもっと高度な技術が必要ですので、もちろん医師に行えることではありません)


権威主義:若い医師が先進的で柔軟な考え方手技療法などの代替医療に興味を持っても、権威や権限を持つ目上の者からの圧力でそれを取り入れるわけにはいかない。


上記などが考えられます。


さて、昨今は、西洋医学の中でも『エビデンス』のないもの認めがたいという風潮になってきていますが、「医療行為における治療法の選択などにあたっては、理論や経験や権威者の判断ではなく、確固とした疫学的証拠に基づき、科学的に最良の判断をすべきであるという考え方をする」ということです。



改めてエビデンスの概念を記述しますと・・・

「すべての医療行為は医学的判断に基づいて行われる。

従来、この判断は多くの部分を医療者の経験や権威者の提言、あるいは生理学的原則・知識に基づいた判断に従って下されており、治療者や国によって治療法が違うのも当然である、といった状況が長く続いてきた。

 権威がものをいう例としては「この治療法はこの病院で100例以上の実績があって良好な成績を収めた」、「有名人の誰それがこのダイエット法で10kg痩せた」といった判断がある。また、生理学的判断の例としては、「緑茶は実験室にて抗菌作用や抗酸化作用が示されたため健康に良い」「カルシウムを多く含む食品を多く食べることで骨が丈夫になり骨折のリスクが減らせる」といったものがある。この程度の「理由付け」による価値判断は、マスコミや一般向けウェブサイトに溢れている。また従来、医療従事者にとっての価値判断もこのようなものでしかなかった。

 しかし1990年代より、治療法などの選択となる根拠については、正当性が厳格にコントロールされた(=研究手法が正確である)実験結果で示すべきであるという議論が高まってきた。カナダで始まり世界に広がったこの動きはEBM(Evidence-based Medicine)と呼ばれ、日本では根拠に基づいた医療と訳される。」

とされています。



「正統医療=西洋医学においてもエビデンス(疫学的根拠)を重要視するようになっているのに、根拠のない経験則や伝承などに拠る手技療法を含む代替医療などは認め難い」



それが大多数の医師のとらえ方なのだと思います。

正統医療の中でエビデンスのあるものは20~30%位でしかない現状の中で、手技療法のエビデンスは望むべくもないのかもしれませんが、それを示して行くことが、患者のための統合医療実現につながるのでしょう。



日本では海外(特にアメリカ)で検証されたEBMをそのまま取り入れ、国内で再検証していることなどほとんどありません。根拠はその後の研究や検証によって覆されるものも多数あります。ある調査では、「100件のエビデンスのうち23件が2年以内に覆され、そのうち7件は出版された時点で既に覆されていた」とされています。

各国において、継続した検証が必要ともいえるのだと思います。



~take care~